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卒業論文紹介2022 -市街化調整区域に位置する住宅団地における居住の継続可能性に関する研究-

  • 執筆者の写真: Lab Kurose
    Lab Kurose
  • 2022年4月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2023年2月3日

皆さんこんにちは。

日本は人口減少や少子高齢化が進んでおり、それに伴い様々な問題が生じているというのはよく聞く話ですが、これから事態が好転することは難しいにも関わらず、世の中はなかなか現実を直視できていないと感じますね。

都市の分野においても解決すべき重要な課題があり、今回はそんな研究を紹介したいと思います。

高度経済成長期の日本では人口が急速に増え、住宅需要を満たすために郊外での住宅団地開発が多く行われました。しかし、現在の日本は人口減少が進んでおり、都市は縮小の段階に入っていると言えます。また、住宅団地が多く作られた時期から50年ほど経過しているため、当時20代〜30代で家を建てた世代が現在では70代〜80代となっています。そのため、郊外の住宅団地では人口減少と高齢化がより顕著であるというわけです。

また、郊外においては公共交通の利便性が低く、スーパーなどの立地も少ないため、車を前提とした生活がなされている傾向にあります(住民が車を前提としているから公共交通の利便性が低いという側面もあります)。そこに高齢化が合わさることで、「郊外において、車の運転ができなくなった高齢者の生活の維持」という課題が生じているのです。

本研究では福岡県那珂川市の市街化調整区域にある住宅団地を対象地区としました。市街化調整区域とは市街化を抑制する区域であるため、基本的に新しく住宅や商業施設は建てることができません。このような地区において、住民の居住の継続可能性を分析することを目的に研究を行いました。


研究では、実際に現地を訪れて実態を把握する現地調査、住宅地図や過去の航空写真などから過去を紐解く資料調査、市役所や住民の方から詳細な話を聞くヒアリング調査、そして大規模に定量的なデータを採るアンケート調査、など様々な観点から調査を行いました。


そして、本研究では以下の点を明らかにしました。

①対象地区は、市街化調整区域であるために、地区内や近辺での生活利便施設の立地が少なく、バス利便性も低いために、車が運転できなくなる高齢者の世帯において、日常生活の継続に課題が見られた。

②特に住宅団地においては、バスが効率的に運行しにくく本数が少ない、坂道により徒歩や自転車での移動が負担である、といった問題が生じており、幹線道路との標高差によって同じ地区内の住宅団地間でも利便性に大きな差があり、居住継続意向にも影響が見られた。

③市街化調整区域による制約と、特例的に新築を可能にする受理団地という制度により、相対的に居住継続意向が低い住宅団地に新規居住者が流入している。


本研究の対象地区も課題を抱えてはいるものの、福岡都市圏に位置しているということもあり、まだなんとかなるという感じもします。しかし、他の地域ではより深刻な状況にあり、空き家などの問題を抱える住宅地もあります。これからの日本は人口減少や高齢化が更に進むことは間違いないので、それに応じた都市のあり方を、目を背けずに考えていく必要がありますね。


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