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2024年2月 ウクライナ復興国際コンペ、最優秀賞を受賞

修士2年の古川翔と末廣研の樋口紗矢さん(2023年度卒業)がウクライナ復興国際コンペ(International Contest “CITY OF IRPIN: THE FUTURE HORIZON”)に応募し、最優秀賞を受賞しました。



<コンペ概要>

このコンペはイルピン市を始めとするウクライナ復興に向けて開催された国際コンペティションで、全世界の大学に参加を募る形式で開催されました。九州大学として応募を行い、黒瀬教授と末廣教授とも議論をしながら作品を完成させました。

お題は非常に難解でした。未来の都市像やウクライナ復興に対する10の基本的な質問に答えながら、私たちの提案を伝えなければなりませんでした。

10の基本的な質問を含めた、詳細な概要は下記サイトに記載。

“CITY OF IRPIN: THE FUTURE HORIZON”ウェブサイト:https://www.icausirpin.com


<私たちの提案>

人々は生活の中で、衣食住に関係する様々なモノを消費している。

そして、それらのモノは誰かの手によって、どこかで生産されている。

その事実は知っていても、都市の生活の中で目にすることは、ほとんどない。

そこで、未来の都市の定義を「生産と消費の距離が近い集落の結合体」とする。



この図は、農業と日々の暮らしの新しい組み合わせを手形の交ざり合いで表現しており、ヨーロッパで再構築されうる新しい種類の幸福・暮らしとして評価された。


そして、イルピンについて考えていく上で、最も重要な点がある。それは、町中に無数に存在している、戦争によって破壊された建物である。破壊された建物には壁のみが残っています。それらを全ていきなり修復していくことは現実的ではありません。以上のことから、都市と自然・農業が伸縮後退する都市の将来像とイルピンに無数に存在している壁を掛け合わせる復興の姿を提案する。




その復興の姿は、

「イルピンの内側に存在する無数の壁と、イルピンの外側に存在する自然と農業の力を活用した復興」(Reconstruction by utilising the countless walls within Irpin and

the power of nature and agriculture outside Irpin.)

である。


これを実現する手法は、

「農業と屋内公共空間が共存するビニールハウスネットワーク」(A network of greenhouses, where agriculture and indoor public space coexist.)

である。



「City Scale」

-A network of greenhouses, where agriculture and indoor public space coexist.


都市の内外に存在する自然と農業の核となる拠点を整理する。

この際、都市の外側にある森や農地は勿論、都市の中に存在している公園も重要な自然の核として位置づける。

都市の内外に存在する核をつなぐように、都市全体にビニールハウスネットワークを張り巡らす。これを通じて自然・農業が都市の中に入り込み、伸縮後退をすることができる。



「Life Scale」

-Networks are Greenhouse Indoor public spaces that link destroyed buildings.


ビニールハウスを用いることで、都市生活の中に農業が浸食。

屋内公共空間であることは冬の寒いウクライナに適した公共空間であるためである。

また、ネットワークをつなぐ際、破壊された建物をつないでいく。

これによって、破壊された建物を活用しながら、都市を回復させていく。空き家になってしまったものも、その壁を活用した農地や緑に浸食されることで、常に何かとして使われている状況を作る。



「Human Scale」

-consumption will take place in a visible relationship with the people who produce.


ビニールハウス型の屋内公共空間の中では、農業も行われるため、生産と消費が近くなる。そのため、生産する人の見える関係性の中で、消費行動を行うことができる。

住民は生産側にも消費側にも身を置きながら、モノのやり取りを行う。



そして、これまで、イルピンはキエフへの通過点だった。

しかし、その通過する時に車窓から見える景色は、伸縮後退する都市と自然・農業の断面が見える。移ろいゆく都市と復興の姿が垣間見える未来がすぐそこにあるだろう。



<審査員のコメント>

The ideas of the project are consonant with Ukrainian history and coincide with the dreams of the future of many Ukrainians. The experience of private agriculture is stored in the memory of modern urban residents.

Oleksiy Obraztsov, Jury of ICAUS contest



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