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2019年度卒業論文を振り返って


今年度は4年生6名が卒業論文に取り組みました。取り掛かりは、それぞれが普段考えていることや好きなことを言語化していくことから始まりました。大学に入学してから3年間で建築や都市のことを学び自分の興味のあることはぼんやりとありましたが、それが具体的にどのようなものなのか、既往の研究の中でどのような位置付けになるのか等わからないことばかりで暗中模索する日々が続きました。

このとき実感したことは、現地に行って自分で体験することの重要性です。既往研究を読むことはもちろん大切なことで前提ですが、その上で現地へ出向き、五感で感じることで今まで考えもしなかったことを見つけることにつながると感じました。わたしは街路空間活用に興味があり、既往研究ではオープンカフェや歩行者天国等の道路占有許可を必要とする事例についてのものばかりを読んでいましたが、大名地区へ行くと民有地内で店舗に併設されたベンチや椅子を利用してそれぞれの店舗が自主的に、それも間接的に街路空間を活用していることを知り、自分の興味の解像度が少し上がった気ようながしました。

卒業論文の具体的な方向性が定まった後の、調査、分析、結論という流れにおいても、各段階でつまずきながら毎回のゼミ発表ごとに考えては訂正するという日々が続きました。どのような調査方法が適切であるのか、どのような分析方法が自分の主張を裏付けることができるのか、そもそも結論はどうなるのか、終始わからないことばかりでした。そして、卒業論文の締めくくりは制限時間8分の中での発表でした。今まで自分の中あるいは研究室内に閉じこもっていたものを外部に対して発信する場であり、かなり重要な場でありました。今まで積み上げてきた卒業論文が自己完結しないためにもスライドの構成やレイアウト等は丁寧に行う必要がありましたが、その難しさを身をもって実感し、今後の課題でもあると思いました。

わからないことばかりで試行錯誤の連続であった卒業論文制作ではありましたが、わからないからこそ多くのことを長い時間かけて考えることの訓練になったと思います。内容は未熟なものであったと感じているものの、一方で制作過程がわたしにとってはこれからの人生の糧になったのではないかと思います。

最後に、私の卒業論文は(または学部4年生全員だと思いますが)先輩方や黒瀬先生に多くの部分を支えられて完成させることができました。改めて感謝申し上げます。

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